小春日和

天地の清明なる霊気が満ち溢れる。

 

開業医は運動不足になるので毎日一万歩を日課にしている。

歩くだけに出かけられない性分なので用事が要る。

これが中々むつかしいが、折に触れて用事を見つけている。

夕食の食材購入、コンビニ、本屋さん、薬屋さん等々

 

日常生活では四千歩だから、さらに六千歩、約60分である。

片道2、30分の距離である。

 

京都に居れば哲学の道以外にも見所に事欠かない。

ある日、女房と鴨川沿いをドライブ中に、京都の大学に受かっていたなら

まったく違う人生だったろうな、と言った。

 

その応えに納得させられた。

「途中はどうであれ結局、今と同じ様にしか成ってなかったと思うわ」

 

それからの会話は職業、ライフワーク、出会い、結婚などホテルに着くまで

話題が多岐に渡ったが、要するに役柄は変わっても役者は同じということだ。

今生は「佐藤俊夫」そのものである。

来世は女か、職業は? とても楽しみだ。

 

しかし小春日和を呑気に散歩する機会は少なかろう。

きっと艱難辛苦が待ち受けているに違いない。

その準備を今している。