高橋 弘憲(たかはし ひろのり)
1983年 自治医科大学卒業
日本内科学会認定内科専門医
日本血液学会認定血液専門医
*著書
「活かす血、老ける血、危ない血」 アース工房
「健康エネルギーを高めて幸せになる習慣」 アース工房
「強運なからだをつくる生き方」 総合法令出版
あなたが病気になったとき、本当のことを教えてくれるお医者さんとお付き合いがありますか? 治療のことなどでいろいろ悩まれてはいませんか?
もし、どうしていいのかわからずに悩んでいるようでしたら気軽にご相談下さい。セカンドオピニオンのご要望にもお応えいたします。
癌の病名告知について・・私の見解
患者さんには事実を伝える。これは私の信念です。日本では長い間、癌や白血病などの悪性疾患の患者さん本人には、事実を隠しながら家族との了解の上で治療が行われていました。私自身もまだ若い頃そんな時期がありました。事実を知ることで半狂乱になる患者さんも確かにいるので、本当のことを言わない方が安らかに過ごせると考えていたのです。しかし、今ではやはり本当のことを教えるのが医師たる者の務めだと思うようになりました。それにはいくつかの理由があるのです。
1.どのような状況下でも、人それぞれ社会的な立場があり、人生設定があります。自分自身のことを自分で考えて決断する権利があるのです。
例えば「たいしたありませんから、切ったらすぐ良くなります。」という言葉を鵜呑みにして、たいした準備もせずに癌の大手術後を受けた患者さんが、自分の予想したようには回復できず社会復帰が遅れたとしたら、周りへも迷惑をかけ社会的信用を失うかもしれません。
2.医師は、患者さんの人生哲学や家庭の事情などに熟知していることは稀です。そのような状況で、最初から本人ではなく家族の意向を優先することを選択するのは乱暴な話です。これは笑えない話ですが、お互いに自分の癌を知らされず、相手の癌を隠し合って一緒に暮らしていた夫婦がいたそうです。またご主人の癌を本人ではなく、奥さんに告知したところ、鬱病の症状が一気に悪化して、患者さんは自分の治療どころではなくなってしまった例もあります。ご本人や家族のことを良くわかった上で、どうしても本人に事実を告げるには大きな問題があり、家族に告知した方がいいと確信できた場合には例外となりますが・・。
3.もし、医師がときとして(良心的な)嘘をつくこともあたり前だと患者さんから思われていたら、本当に癌ではなく良性の病気であると説明しても、その言葉に信憑性がなくなります。この医師は真実を伝えてくれると信じているから、疑いを持たずに結果を聞くことができます。私は、患者さんとそのようにお付き合いしたいのです。
4.癌は現代人の死因の約3分の1を占めます。約2分の1の人は一生のうちに何らかの癌を発症するでしょう。このように高い確率の病気の真実を本人に隠し、病気でない人のあいだで責任を持って対処していくことは非現実的で不可能です。
5.確かに癌などを告知することは、患者さんの落胆を考えるとつらいのもがあります。しかし、嘘をつくことによってそれからのがれていては、解決に向けては何も生まれてきません。事実に基づいた上で、今何をしなければいけないのか、この先どのようなことが起こり得て、それにどう対応していくのか、医師としてどのように関われるのか、といった事を話し合うべきなのです。患者さんとしても、自分がやらなければならない事、家族や友人、同僚に頼まなければならない事、医師に望む事が次第に見えてくるでしょうし、そこから最良の医療計画もできるでしょう。